朝日とともに目が覚め、いつもならそれから動き出すまでに多少の時間がかかるのだが、今日はこの虫公園から一刻も早く抜け出したいという思いが続く、すぐに身支度を始めた。
隣で眠っていたお遍路さんも同じくらいに目が覚めたらしいが昨晩同様、軽く挨拶を交わす程度で特に話し込むことはなかった。一通り準備を終えた後、別れの挨拶をする際にだけ少しお話をする機会があったが、思ったより柔和で話しやすい物腰の人だった。あくまで直感でしかないが僕が想像していたような人ではなかったのかもしれない。何にせよ人を見かけで判断したり、先入観を持つことは、出会いを消してしかねず、自分にとってマイナスに働くなぁと思わされる。
虫公園を出た後そんなことを思いながら歩いていると四国別格霊場があったので立ち寄る。別格に参拝するのはこれが初めてだ。この札所に至る階段は111段あり、人間の煩悩108つと、過去、現在、未来の3世を合わせて合計111段になるように昔の人が積み上げたものらしい。
そもそも別格に参拝したのは時間があったということもあるが、昨日スピリチュアル兄ちゃんが観光名所とかパワースポットとかで人が集まっていないような所、すなわち別格や奥の院などにこそエネルギーや素敵な出会いがあるよ、と言っていたからである。
別格を参拝後ようやく41番へと到着するが、工事中らしく山門は通れなかった。
ここでまたもやルートが同じのフランス人の女性2名と再会する。なんでもお遍路に来る外国人の方の中でも、フランスの方はとても多いようだ。41番の下にある当時首相だった菅さんも来たといううどん屋さんで、団体さんとともに昼食をとる。
42番仏木寺はすぐ隣だったので昼食後すぐたどり着く。
その後43番明石寺に向かうも、時速5.6キロのペースで歩かなければ、5時までにはたどり着くことができない。そのため、もうこの旅で何度目になるかわからない競歩のような早歩きぎみのペースで歩いていく。
途中明石寺に至る遍路道が通行止めになっていて、大幅な遠回りを強いられ絶望する。
諦めずに歩いていると、国道沿いにお遍路さんのお墓なるものが設置されていた。こういうものを見るたびに、やはり、遍路は常に死と隣り合わせであるということを改めて実感させられる。
結局後から振り返ってみれば、時速約6キロ位のペースで歩き、ふくらはぎをパンパンにしながらやっとの思いで明石寺についたものの、もはや気力で歩いていたので山門の写真は撮り忘れた。
5時ギリギリに参拝後、疲弊した左足を引きずりながら山を下っていく。
下山した後に眼下に飛び込んできた宇和町は京都のような街並みだった。聞けばこの区域も、京都のように景観を文化財として保存しているらしい。
しかし腹が減った。確かに町並みはきれいだが、やはり人間花より団子、腹が減っては戦はできない。以前の食べログ事件の反省をふまえ、自分の鼻を頼りに食事処を探す。
数分後、先ほどの街並みから1本外れたところに、味がありそうな鉄板焼き屋を発見する。
店内は小綺麗でお洒落な感じの作りになっていた。1人ということでカウンターに通され、メニューに目を通すとシャトーブリアンとか置いてあって一瞬入る店間違えたかなと思ったが、1000円ほどのメニューもたくさんあったので、店員の方にボリューム多めのものを聞き、焼き飯のようなものを注文する。
そして！！何よりも念願のこれである！！！
うびゃあああああああ
何十日ぶりに、数十キロ毎日歩いた後に飲むビールうびゃあああああああああ
今までビールそんな好きでもなかったけど、このビールうpynto☆◻︎hふじこピュロロロロォォッッry……
ーーそして焼き飯
んまぁ。
店内は若い人に人気そうな造りで、正直入る店間違えた感あったけれど、大将とも軽く話せたし、何よりビールが美味しかったので、もはやそれだけでオールOKです。
でも改めて僕が好きなお店とはどんなものなのか、イメージとしてはスナックような所が好きなのだけれど、この際今後のお店探しのためにも、ハッキリと言語化してみることしにた。
- 大将（女将さん）との距離が近い
- こじんまりとした店内
- アルコールの提供がある
- チェーン店ではない
- お洒落よりかは猥雑とした雰囲気
- 値段設定低め
今後はこれと、自分の直感を信じて店を探していこうと思う。直感の9割は正しいとどこかで聞いたけど、お店に一歩足を踏み入れた時のあの空気感で、大体好みの店かどうか分かるんだよなぁ。
そんなことを思いつつ、今日は遍路道から少しそれたところにある運動公園の四阿にテントを張り野宿をした。
【支出】飲食費500円、1000円、160円、120円、1700円
【歩行距離】35.5キロ
【参拝霊場】41.42.43
