【四国遍路】人間は案外、丈夫だ【6日目】

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今、この記事は徳島県の突端にある宿から書いている。今日は初めて宿に泊まった。連日の野営に心身ともに疲れていたのに加え、何よりもスマホの電源が底をついたのが大きな理由である。

↑まで書いて寝落ちしていた。理由は簡単だ、熱燗を4合くらい飲んだのだ!なぜそんなことになったのか、早朝から振り返っていこうと思う。

昨日死にそうになりながら小学校で野宿したものの、正直寒くて何度も目が覚め、全然眠れなかった。更にはテントにびっしりと結露も発生する始末。ザックの食い込みによる肩のスレ、脚全体の炎症と筋肉痛も平行線のままである。しかし、それは関係ない。歩かなければならないのだ。とは言ったものの、立つのもままならない状況だったので、ゆっくりと準備をし、9時前くらいの遅めの出発をした。


正直、朝起きた時は、「ああもうこれはダメだ歩けない」と思う自分がいた。しかし結論から言えば、自分にムチ打って気力で歩いている自分がいる。人間は、案外、自分が思っている以上に、丈夫なのかもしれない。

しかし身体は気力で何とかできても、スマホの電源はどうにもできない。この時すでに、スマホもスマホ用の携帯充電器のバッテリーも切れていて、これが目下最大の懸念事項だった。

しかも本日最初の霊場である太龍寺は、ロープウェイで行くような場所にあるお寺である。山中でのもしもを考え、一抹の不安を感じながらも入山した。

もう、この辺りになってくると、山に飽きてくる。そしてM性にも磨きがかかり、どんな過酷な道のりを提示されようが、結局は一歩ずつ行くしかないという達観性も芽生えてくる。正直肩も足も歩ける状態ではないものの気力でなんとか太龍寺に到着。すぐに納経所で充電をさせてもらう。


その後、売店でカップラーメンを見かけるやいなや、貪るように食べた。普通のカップ麺だったが、胃に何も入っていない状態では、一種のオーガズムを感じるくらいには美味しかった。

そしてお大師さんが修行したという道を通り下山。


この道がまた危険で、未舗装の山道はいつ滑落してもおかしくないような箇所がたくさんあって、もはや笑ってしまった。


どこが道で、どこが道ではないのかの区別がつかない険しい山道を越え、ひたすらアスファルトを歩き続け22番平等寺に到着。


ヘロヘロになりながら参拝を済ませ、平等寺の休憩所で今夜の予定を立てる。ちゃんとしたものを食べていなかったので、エネルギーが出るものを食べたい、という思いと、コンセントが絶対に欲しいという2つの条件を鑑みた結果、今夜は宿を利用しようと思い、調べておいた宿に電話するもGW期間中ということもあってかすでに満員。

手持ち無沙汰になっていると、事の経緯を見ていた老夫婦が

「よかったら、わたしらが泊まる宿に一緒に泊まるかい?」と声をかけてくれた。

とてもありがたいお話なのだけれど、野宿の身としてはなるべく宿代は抑えたい。老夫婦が今夜泊まる宿を調べてみると7500〜16500円とか書いてあって、これは値段的に厳しそうという旨を伝えると

「これも何かの縁じゃけぇ、足りない分は私らが出したげるから心配なさんな。それより歩き遍路さんなら宿まで車で行くことになるのは大丈夫なのかい?」と言われた。

どっかーーーーーーーーん!!!!!桜島ーーーー!!!!!

ってくらい驚いた。あなたはお大師さまですかと。

もはや全身疲弊しきっている僕に、この提案に乗らない理由はなく、重ね重ねお礼を申しつつお言葉に甘えることにした。車移動に関しては色々な考え方があると思うけれど、個人的には霊場に向かう以外の移動(宿の送迎とか)は別に良いと思っている。 どうせ明日また平等寺まで戻り、ここから歩き始めるのだから変わらない。

というわけで老夫婦の車に飛び乗り宿へと向かう。車速すぎ。道中お二人と色々な会話をしながら、港の突端にある本日の宿に到着。外装はお世辞にも綺麗とは言えないが、野宿遍路にとって大切なのはそこではない。

部屋はこんな感じ。布団で寝られる!!!というだけでこの時既に感動していたばかりか、洗濯もしてくれて、海の見えるお風呂もあって、コンセントもあって、、、ここは天国かと。

いや、天国ですね。お刺身とか漁港の町だけあって「あ、それ2時間前にとれたやつー」とかいってましたからね、はい。ほっぺたおちましたよ文字通り、てか、白米ってうまくね!?!?!?歩き遍路初の白米だったんでね、もう言葉にならず、ひたすらニヤニヤしながら食べてましたよ、はい。

そしてなんかここら辺から《宴》が始まるんですよ。夕飯の前にお父さんと一緒に風呂入ってたんですけど、そこで言っちゃったんですよね。「日本酒、特に熱燗が好きです」って。お父さんそれに食いついて「わしもじゃー!」って盛り上がって、僕が夕飯の席に着いたら既にあるんですよね。熱燗が。デフォで。

個人的には、お遍路さんは酒もタバコも絶対禁止!とかは全く思っていないのでむしろ大歓迎なんですけど、今夜は色んな意味で熱くなるなと思いましたね。

まず日本酒が美味しすぎるんですよ!お酒自体久しぶりだからってのもあるんでしょうけど、本当に酒の一滴は血の一滴という言葉を、言葉通り感じてましたね。で、このお父さんがすごい雰囲気作りの上手な人で、基本的にこの宿みたいな民宿って泊まる人のほとんどお遍路さんらしいんですけど、隣のテーブルの人とか巻き込んで盃を交わし始めるんですよ。ルフィかと。

奥さんも奥さんで30年以上禁酒してたらしいんですが、それを最近解禁したらしくて、「死ぬ前に30年分飲まないでかぁ!」って感じで4.5人で日本酒ばかすか飲んで、最後の方とか僕と歳が3倍以上離れているのにも関わらず、子作りの話で大爆笑してましたからね。

日本酒って別名ハンニャトウって言うらしいんですけど、ハンニャトウが巡り合わせた出会いに乾杯!した熱い夜でした。

日本昔話のEDに「いいな いいな 人間っていいな おいしいご飯に ぽかぽかお風呂 あったかい布団で眠るんだろな」ってあるじゃないですか。あの歌、野宿してるとマジで心にしみますからね。つまり、歩き遍路って、当たり前のこと、有り難いことに気づかされる旅でもあるんですよね。

【支出】ポカリ160円、カップ麺300円、宿6500円

【歩行距離】?

【参拝霊場】21.22

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【ふぉろーみー】