柳 俊

小説

漸進

【1】 良夫(よしお)はその街に座っていた。もう、根本的に疲れていたのかもしれない。何に疲れていたのか。なんだろう。もうそれすらもよく思い出せない。思えば、平凡な人生だった。学生時代は目立つグループにいた。スクールカーストというものがあるな...
日記

その先を見たい、という気持ちが、僕にはもうない。

手紙を書きたいと久しぶりに思った。誰に宛てるわけでもないのだけれども。もし人生に賞味期限があるのだとすれば、僕のそれはもう終わっているのだと思う。年齢を重ねれば人間としての深みが増すなんてことはなく、細胞的にも枯れていくのみである。大人なん...
日記

旅は人生を変えない

旅人に対してちょっと辛辣なことを言う。「あなたが見たその土地での印象は表面的なものにすぎない。」たしかに全体的に見れば日本人はいい人が多いから、差し入れをもらったり、泊めてもらったりと、よくしてもらうことも多い。けれどその土地に根付く深い問...
日記

夜行バスに揺られるというただそれだけの体験をめちゃめちゃ小説のプロローグっぽく書いてみた結果がこちらです。

細長い筐体の中に4列で区切られたシートがある。一人また一人と、個体が筐体の中に流れ込む。僕はいつもこの箱の中に他の個体と詰められ、物理的に遠いどこかへと運ばれる。その様を俯瞰してみると、家畜と何ら変わりがない。満員電車よりはいくぶんマシだと...
日記

アナニーをしなくなった

のだ。菊門のシワの数をまるで花びらの数を数えるように恋い焦がれ、紐解いていたのに。これも歳のせいなのだろうか。若いうちは好奇心と無根拠な自信だけでどこまでもぶっ刺しっ突っ走っていけた。それが今となってはアナニーの快楽よりも面倒くささの方が勝...
本・映画・漫画

重松清の疾走を読んだので今日はもう何もできない

鼻の頭がツーンとして、何度もくしゃみが出そうになった。涙をこらえる防衛本能だ。小説が現代の隠喩として僕らに何かを教えてくれる案内人だとするなら、この物語の案内人は純粋すぎるがゆえの狂気を孕んでいる。重松清の作品は流星ワゴンだけ読んだことがあ...
日記

【黒歴史】断食中に意識が朦朧となって発狂して書いたポエム晒す

タイトル通りです。いってみましょう。―――――――――昨日ほどエネルギーの枯渇を感じない。お湯が非常に美味しく感じられる。雨が降っている。すべてを洗い流してくれそうな雨が。その音を静かに聞く。夜の雨はどこか悲しみを内包しているから好きだが、...
断食

【断食】人は1週間何も食べないとどうなるのか【検証】

人生で初めて断食をした。期間は1週間。(断食道場に3泊4日、自宅で3日)水以外のどんなものも一切口にいれない。あまりにシンプルなルールだがこんなマゾヒズムあふれる経験は、飽食の日本ではなかなかないだろう。僕が入堂した断食道場は千葉県にある成...
小豆島お遍路

小豆島お遍路に行ってきます

前々から行きたかった小豆島のお遍路に行ってきます。ここには個人的備忘録をば。【行き方】東京――小豆島間で最安の行き方は僕が調べた限りだと、東京――神戸三宮まで夜行バス(1700円)三宮――神戸新港(徒歩二十分、もしくはバスで10分210円)...
日記

死ぬ前に生きる

どうしようもなくしにたくなったとき。いろんな逃げ方がある。お酒に溺れるも、活字の海に溺れるも、映画を見て誰かの人生を疑似体験するも、なんでもいい、生きる。死ぬ前に、生きる。 やりたいことを探してはいけない。やりたいことなどない。 自分がいな...