ヒモビジネス
よし!学校へ行こう!
――そう意を決してホストを辞めた僕は、気付いたらAV女優のヒモになっていた。
きっかけは些細なことで、ホスト時代の僕のエースだったAV女優の子とホストを辞めてから半同棲生活をしていたところ、その子がふと
「あたしが学費出したげるから学校なんて行かないであたしんとこいなよ!」と言うのだ。
「学費を払っているのに行かないなんて勿体無い!」そう僕が言ったら彼女がそんな風に言い返してきた。結果的に僕はその言葉に甘えることになり、AV女優のその子に養われる生活が始まった。
最初はその子の家でゲームばかりして、ご飯は出前で済ますという完全にひきこもりニート状態だった。しかし日に日にこのままではマズいという焦燥感が募り、【ヒモ】というものを一種のビジネスとして捉えてみることにした。
具体的には、ホスト時代の縁を切っていないお客さんを辿って、裏っ引き(お金を引っ張る)をしようと思ったのだ。単純に考えればホストクラブというハコに払う手数料がないため上手くいきそうな気もしていたのだが、これが予想以上に大変だった。
まずホスト時代にそれぞれの女の子がひと月に使っていた金額を計算し、その額と同等くらいの金額を引っ張ろうとしたものの、なかなか上手くいかない。
今でこそ理由は分かるのだが、ホストというものは一種のブランドなのだ。例えば男性の方だったら想像してみてほしいのだが、指名していたキャバ嬢がキャバクラを辞めどっかのスーパーでパートを始めた場合、キャバ嬢だった時代に比べれば、貢ぐ価値は減ると思うのだ。
それはホストにも同じことが言えると、この時身をもって経験した。
それでも数人の女の子からはなんとか【ヒモ】を出来ていた。
しかし障壁は他にもあった。例えばホストクラブの場合、一日に何人でもお客さんを呼べるし、メールや電話の時間はあるものの営業時間が終われば基本的に肉体的には自由になる。
一方ヒモビジネスの場合、一日に一人の女の子にしか会えないばかりか、丸一日その子に使うことになるので、時間的な制約の面でいってもかなりの重労働だった。
一度、ヒモビジネス用に借りたビジネスホテルに女の子たちを1週間日替わりで呼び、日替わりでヒモ(裏っ引き)をするという意味不明なことをしたことがある。
毎日スーパーカマグラというバイアグラのジェネリックとリドスプレーという早漏防止用の局所麻酔薬をチンコに吹きかけ、人工的に作った鉄壁のイチモツを駆使して奮闘していたが、色々な意味で人生史上最強に疲れた1週間だったのを覚えている。
結局、開始当初は月に80万ほど引っ張れていたものの、先に述べたホストブランドの影響もあってか、すぐに上手くいかなくなっていった。
俯瞰してみると、ホストを辞めていながら、結局ホストのようなことをしているという迷走時期だった。
そんな生活が半年ほど続いたある日、僕は友達と会う約束をして久しぶりに新宿にいた。
そこにサラリーマン風のスーツ姿の男性が近づいてくる。
そして彼は言う。
「スカウトマンって知ってます?」
【20歳で月収200万を手にした男】~ホスト時代編~後編(前章)
【20歳で月収200万を手にした男】~AV女優のヒモ編~(今ここ)
【20歳で月収200万を手にした男】~スカウトマン時代編~(次章)