【四国遍路】縁【高野山③】

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最終日もクマに襲われることなく無事に目が覚める。2日間お世話になった市役所とも今日でお別れだ。ありがとうございました!

今日も朝6時からのお勤めのため、無量光院へと向かう。昨日、風呂の確認を取って頂いた女性と再会し、会釈をする。

お勤め後のお茶会の際に女将さんに改めて昨日のお礼を述べる。ちょうどその時に今日行われる青葉祭りの話題になり、僕が踊りに出ることを告げると、たまたまその場にいた観光客の女性3人組方達と、このお寺で得度(出家)するために修行をしているという外国人女性カリーナも参加するという。

どうせなら一緒のグループで踊ろうということになり、後で合流する約束を交わす。

その後は女将さんが昨日の言葉通り朝食を用意してくれていた。通された部屋はなんだか豪華な客室で、そわそわする。

本日の精進料理とお茶会の際に頂いたお菓子。

いただきます!

――ごちそうさまでした!!!

朝からお櫃に入ったお米まで一粒残らずたいらげてしまった。

高野山では無量光院にお世話になりっぱなしだった。次回来ることがあったら、ここの宿坊に宿泊したいと強く思う。

そして青葉祭りに際し、無量光院の住職さんの法話が行われるというので会場へと足を運ぶ。

その後、高野山の僧侶達が集まり、いと荘厳な法話が始まる。

法話終了後はお大師さんにお祈りを交わす。

奥に薄っすらとお大師さんの像が見える。

法話の際に今朝無量光院で会ったカリーナと話していると、横に座った女性がたまたま歩き遍路経験者だったことが判明し、話が盛り上がる。なんでもその人は結願後、高野山に報告に来た際に泊まった宿坊と縁があり、なんと今そこで働いているのだとか!

縁とは非常に面白いものだなあと感じる。

その後は今朝約束していたグループで集まり、昨夜練習した盆おどりのような踊りを踊りながら、高野山の町中を練り歩いた。

青葉踊りが終了したらいよいよお祭りも終わりに近づき、最後に現高野山真言宗トップの僧侶の方がお見えになり、しばしお話をされていた。

――有り難い話をしているかと思ったら次の瞬間、餅をまき始めた。

脈絡がなさすぎてよくわからなかったが、トップが撒いた餅をキャッチするとご利益があるのか、おばさま方がキャーキャー言いながら餅に群れる姿は何だか滑稽だった。

僕はといえば、道に落ちた餅を拾い、食っていた。固い。

餅まき大会が終わると青葉祭りも終了し、カリーナとその後少し飲みに行く約束をする。そして僕は、今朝無量光院のお勤めで会い、先程一緒に踊った女性3人組をひたすら探すことにした。実は彼女たちの車に乗って関東方面へと帰る約束を交わしていたからだ。けれども残念なことに携帯番号を聞き忘れていたため、どこにいるのか全く分からない。とりあえず一番交通量の多そうな交差点に腰を下ろし、あわよくばどちらかが発見することを祈ることにした。

しかし時間だけがすぎるばかりで、交通量もどんどん少なくなっていく。「これはもう諦めてバスで帰ることにするかあ。」と思っていたら、前から白衣を着たお遍路さんと思わしき女性が歩いてくる。四国を抜けて別の地でお遍路さんに会うと、なんだか旧友に会ったような気分になる僕は、迷わず声をかけた。

話を聞けば、彼女は今日高野山に着き、お大師さんに結願の報告をしてきたばかりらしい。これからバスで帰るという彼女に僕の帰路の相談をすると、関東方面へ今日中に帰るのなら、もう今すぐ乗らないと間に合わないとのこと。

自分でも確かめてみると、夜行バスに間に合う猶予はもうほぼないことに気がつく。女性3人組の車に乗せてもらう望みはほぼ薄くなっていたので、バスで帰ろうと思い、カリーナに飲みの断りを言いに無量光院へと走った。

無量光院に着き、瞑想をしている彼女に恐る恐る断りの話しをする。

あっさりOKされると思っていたが、「Oh…………」みたいな反応をされ、予想に反して熱烈に「なにつれないこと言ってんだよぉぉぉおおおおお!!!!!のみいこーーぜーーー!!!!!! Yeahhhh!!!!!」みたいな言葉を返される。

結局、そのパッションの凄まじさに根負けした僕は、もう一夜市役所の下にお世話になることにし、今夜はカリーナに全てを捧げることにした。

先程会った女性お遍路さんもバスが来るまで少しの間飲みに加わることになり、カリーナおすすめの高野山の大衆居酒屋の暖簾をくぐる。

すると、周りの人達がほぼ坊主だった。坊主バーにでも来たのかと錯覚する。

でもよくよく考えれば日本の仏教というのはチベットのそれとは違い、そこまで戒律が厳しくない。だからお酒も飲めるしタバコも吸えるし、セックスだって出来る。坊さんが居酒屋に集まっていることもきっとここ高野山では普通の光景なのだろう。

三人で会話をしていてわかったのは、この女性お遍路さんが英語ペラペラだということだ。僕のカタコト英語ではカリーナと時たま話が噛み合わなかったので、そこはソウルで誤魔化していたが、この女性が通訳さんのような役割をこなしてくれたおかげで、スムーズに会話をすることが出来るようになった。

そして話が今日法話の際に一緒になり、お遍路をした後高野山の宿坊で働いているという女性の話題になったときだった。

後ろの方から「その人って、もしかしてジュンちゃん?」という声が入って来る。

「!?」と思い後ろを振り返ると、なんとその坊さんはその女性(ジュンちゃん)が働いているお寺の副住職さんだったのだ。いやはやこれも不思議な縁で、それをきっかけにそのお坊さんも会話に加わり、カリーナや坊さん繋がりであれよあれよと店全体が1つのグループみたいになっていった。

そうこうしているうちに女性遍路さんのバスの時間が近づき、「私はそろそろ」と言いかけると、飲み会恒例の引き止めが始まる。

宿坊を取っていないと言うので、それなら最悪僕のテントと寝袋、マットを貸すのでそこで寝てくれていいよというオファーを投げかける。彼女は悩んでいる様子だったが、そこに副住職がまさかの「うちの宿坊、今晩だけ特別にタダで使ってええで」という強烈すぎるオファーを提示してきた。これには僕と彼女も驚くと同時に、四国以外の地で受ける暖かいお接待になんだか笑みがこみ上げてきた。

そうと決まると話は早く、副住職がすぐさま寺に空き部屋の確認を取ってくれ、なんなら「Youも泊まってっちゃう?」とジャニーさん的なノリで、僕も彼女のバーターで宿坊に泊まらせて頂けることになった。あなたが神か…………。

まさかこんなことになろうとは夢にも思っていなかった。元はと言えば僕が女性3人組とはぐれたことがきっかけだった。あのまま普通に彼女たちの車に乗っていたらそれはそれで別の物語が生まれたのだろうけど、この女性お遍路さんと出会うことはなかったし、こうして副住職に出会い、その暖かさに触れ、宿坊に泊まることもなかった。

人生とは選択の連続だけれど、こうした小さな選択の積み重ねからも、それが大いに分かる出来ことだった。

これは余談だけれど、後にこの女性お遍路さんとはとても深い仲になり、今ではたまに家に遊びに行くほどだ。今でこそ彼女との出会いにはとても感謝しているけれど、それは本来なら生まれていなかったかもしれない。いや、全ては必然だと考えるなら、彼女との出会いもまたそうであるのかもしれない。縁とは本当に不思議なものだなぁ。

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