【四国遍路】FUJITA事件【29日目】

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起床後、大師堂を出る前に一晩見守ってくださった感謝の意も込めて、お大師さんと2人きりで読経をする。

この大師堂は電気も水もトイレもあり快適だった。


今日もおそらく何もない道が続くだろうと思い、道の駅で昼飯を買った後に、大師堂の鍵を返しに小番食堂へ向かうと、営業中の看板が!


軽く朝食をとっていこうと思い中に入ると、奥から出てきた女将さんが、今はかけうどん・そばか、おいなりさんしか出来ないとのこと。胃に何か入れられればよかったので温かいかけうどんを注文する。


にゅう麺のような胃に優しい感じのかけうどんだった。最近は麺系のスープは全て飲み干す癖がついてしまっているので、例によってこちらのうどんの汁も最後の一滴まで飲み干した。

お代を払おうとすると、女将さんがお接待してくれるとのこと。昨日の一件からお接待続きである。本当にありがたい。きちんとお札をお渡しし、小番食堂を後にする。

道すがら昨晩夕飯のお接待を頂いたお店の前を通りかかったので挨拶をしていく。お母さんと軽く挨拶を交わすだけで朝からエネルギーを貰えるのを感じる。

道の駅から来た道を引き返し山道ルートへ戻るのは面倒臭かったので、そのまま44番へ向かう国道ルートを歩いていると、対向車が一台目の前で泊まる。誰かと思って近づいてみれば、一昨日ご自宅に泊まらせて頂いた藤田さんだった!なんたる偶然だろう!と縁を感じていると、ボソッと「狙って来たんだよ」と一言。

!?!?!?!?!?!?

確かに昨日僕が大師堂に宿泊する予定であることは言っていたので、今日どの辺を歩いているかは予測出来るであろうものの、それを狙い撃ちしてくるて、、、、、彼女か。

「きちゃった。。。」的な彼女か。

しかも長話をするでもなく、何か忘れ物を届けに来たわけでもなく、ほんのわずかな時間、軽く談笑するだけなのだ。

なんなんだこの人は!!!!!!!!!!

暇か!!!!!!!!!!!!!!!

去り際にお接待でまたもやサイダーとビワを頂いたのだが、もはやこのビワの中にGPS埋め込まれてるんじゃないかと思う。そして藤田さんとはどこかでまた会う気がする。

ーーと、思っていたらこれを書いた数秒後に会った。というか僕と一緒に歩くためにわざわざ車を停めて歩いて来てくれた。おもしろい人だなぁと思いながら遍路道をともに歩く。勾配の急な坂を登り、車が停めてある場所に着くと、「先に行っちょって」と言うので歩いていると、トンネルの入り口辺りで追い越される。おそらく出口付近で待っているのかなぁと思い少し早足でトンネルを抜ける、が、、、誰もいない。颯爽と走り去ったが最後、フジタ、キエタ。風のような人だなぁと思いながらも、どうせビワにGPS入っているのだから、二度ある事は三度あると言うし、きっとどこかでもう一度会う気がしている。

遍路道に戻ると日和田峠は通行止めとの看板があったため農祖峠へ進む。

日和田峠を通っていないので何とも言えないが、農祖峠楽勝すぎである。地元の方にキツイよーと言われていたので少し身構えてはいたが、肩透かしをくらった。そのままあっという間に44番大宝寺へ到達。


このお寺の金剛力士像は文化財に指定されているらしい。


境内で買っておいた弁当を食べ、エネルギーを補充し、参拝後45番岩屋寺を目指す。大宝寺を出発したのは15時だったので、この時既に納経所が閉まるまで残り2時間しかない。ギリギリになるだろうなあと思いつつ、半ば楽観的な気持ちで、この時はまだ歩けていた。

そして大宝寺から遍路道の山道を降り、国道へと出た、その時である。

「プッ!」

短いクラクションとともに、ヤツが、そう、FUJITAが現れたのである。先ほど会ってからしばらく時間が空いていたのは、おそらく山中でGPS入りのビワを食べてしまったため、僕の存在を見失ってしまったのだろう。

ーーもうさすがに僕も驚かない。彼はきっと山の主で、迷えるお遍路である僕を定期的に導いてくれる、いわば人間道標のようなものなのではないかと思い始めていた。

例によって今回も数分軽く話す程度で、汲んできたという湧き水をペットボトルに補充してくれるやいなや、即座に別れた。

ーー絶対また会う

この時確信した。もうたぶんビワとかじゃなくて体内にGPS埋め込まれたと思う。もうなんだか会う度に面白くなっちゃって逆に元気が出てきた。

人間道標と別れた後、岩屋寺に早歩きで向かう。時間的に時速6キロくらいのペースでいってギリギリという感じであった。正直間に合わない気もしていたが、もし仮に納経を断られたら、その際は自分で何かしらの参拝証明の印と文字でも書けばいいや、くらいの軽い気持ちでもあった。結局納経も自己申告であるし、一応納経はしているものの、個人的にはお寺にはあまりありがたみを感じていない。

そうは言ってもなるべく17時までには着きたい。早歩きで歩き続け、16:22に八丁峠に入山した。

この峠がアップダウンの激しい、まるで最初の遍路ころがしであった焼山寺にいたる山道を彷彿とさせるもので、激しく息が上がる。しかもこの道を時速6キロペースで歩まねば、納経所が閉まる17時には間に合わない計算だった。

そこからは、ただただ気力である。今思えば、道幅の狭い山道をずっと小走りしていたのは非常に危険だったと思う。滑落の恐れもあるし、つまずいて足でもくじいたらゲームオーバーである。しかし全速力で小走りしたおかげか、岩屋寺には17時ちょっと過ぎ辺りに着くことができた。八丁峠に入山してから時間にして40〜45分ほどで到着した計算になる。自分で言うのもなんだがかなり早いと思う。快く開けてくれた納経所の方もそれには驚いていた。

別に速く歩く事が目的では決してないが、こんな感じで気力を出し切って何かに挑戦した後は、「人間頑張れば、何でも出来るものだな。」と必ず思う。おそらく僕の前世は忍者か何かなんだと思う。

もう17時を過ぎていたので誰もいない岩屋寺を1人散策してみる。このお寺はその名の通り屹立した岩に囲まれ、独特の雰囲気があるお寺であった。

岩のくぼみに登る梯子がかけてあったので、登ってみる。

まるで男根のような何かが祀られていた。

岩のくぼみからの景色。いたって普通である。

岩屋寺のトイレはバイオトイレというもので、水を使わず土に含まれる微生物の力によって糞尿をリサイクルするエコトイレなるものだった。見た目はいたって普通の和式だが、

このスイッチを押すと

便座の下にある土が回転し始める!!(※この茶色いのは土で、僕が大量の便を排出したわけでは決してない)

岩屋寺でゆっくりと休憩、参拝をしていると約1時間弱も経ってしまっていた。僕は八丁峠の方から入ってきたので、本来入り口となるであろう山門を出口に、岩屋寺を18時に発つ。

今日の野宿場所である古岩屋荘前へと歩いていく。たぶんこれを読んでいる方も「そろそろだな……」と、いい加減予想がついてきているだろうが、まさにその通り。

FUJITAの襲来である。

今回の登場の仕方はいたってフランクで、傘をこちらに振り、歩きながらの登場だった。FUJITAの姿を見た瞬間、ある程度予想はしていたものの、一気に全身の力が抜けた。今日はほぼFUJITAと一緒にいた気がする。同行二人ならぬ同行三人である。「1日の締めくくりは、FUJITAで。」なんて小洒落たウィスキーのキャッチコピーみたいな事を考えていると、FUJITAがトトロのカンタばりに無言でかりんとうを差し出してきた。「お、おぅ。」と言わんばかりに僕もそれを受け取る。んまい。糖分は正義だ。ありがとうFUJITA。

しばらく一緒に歩き、古岩屋荘は近かったため、あっという間に到着。するとFUJITAは「POTECHIあげる。」と言い、車から堅揚げポテトを取り出して来た。んまい。塩分は正義だ。ありがとうPOTECHI。まちがえた、ありがとうFUJITA!

そして楽しかったFUJITAとの時間にも終わりが訪れる。別れ際FUJITAは思い出したようにメモ用紙に電話番号を書いて僕に渡してきた。正直番号なんか教えずとも「iPhoneを探す」よろしく、FUJITAなら僕の居場所を容易に見つけられるだろうなとは思ったものの、何かの縁ということで一応僕の番号も教えておいた。おそらくFUJITAのことだから、このブログも探し出して読んでいるかもしれないので念の為言っておくと、「色々とありがとうございます、はい!」

FUJITAと別れた後、古岩屋荘でご飯と風呂に入り、エネルギーを充電する。

店主の方にアイスもお接待して頂いた。風呂上がりのアイスは格別にんまい。

そして先ほど古岩屋荘前のバス停にテントを張り、今この記事をテントの中で書いていて思うのは、明日、テントから出たら、FUJITAが既にいそうな気がする、ということである。いや、まじで実際ありえそうだ。それも1つの楽しみにしつつ、今日は眠りにつく。

【支出】飲食費250円、550円、260円、入浴料400円

【歩行距離】36キロ

【参拝霊場】44.45

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【ふぉろーみー】