イキナリの最終回ということで巷を騒がせていたらしい
東京喰種(トーキョーグール)を先ほど読了したので、学べたことをつらつらと。
つらつらと。つらつらと。つらつらと。つらつらと。つらつらと。つらつらと。つらつらと。ってつけるとつらつらとととt。書こうと思う。
て、書くと東京喰種(トーキョーグール)っぽいかな。
さて、まずストーリー的に言えば、物凄く王道なんです。この作品。
序盤とか特に、ストーリーテリングの技術をよく知らない僕にも、
ロード・オブ・ザ・リングとかスター・ウォーズとかを彷彿とさせるような、王道な展開の仕方だなーと思って読んでました。
で、少しストーリーテリングかじったことある人ならわかると思うですが、
序盤の流れって、【神話の法則】まんまなんですよね。
神話の法則に関しては後ほど説明するとして、
古くから親しまれ、散々使われてきた神話の法則の流れに、基本的に則った本作が、
事実、これほどまでに多くの人にウケて、賛辞を送られているということからも、
やはりどこまでいっても、人間心理が変わらない以上、
本質や原理原則は変わらないということ、王道は強し!ということが強く心に刻まれました。
じゃあ具体的に、神話の法則ってなんぞや?って思ってる方に
今から東京喰種(トーキョーグール)を例にとってそれを説明していこうと思うのですが、
正直、僕自身もストーリーテラーなわけではないので
あまり鵜呑みにせず、話半分にでも読んで頂ければと思いまーす。
東京喰種(トーキョーグール)から学ぶ神話の法則
まず、神話の法則の全体像を簡単に説明すると、こんな感じになります。
別名、「ヒーロズ・ジャーニーの12ステップ」とも言うらしいです。
1.平凡な日常:キャラクターの日常描写
2.非日常への誘い:日常から非日常へのきっかけの描写
3.非日常の拒絶:非日常に対する葛藤の描写
4.師との出会い:葛藤を克服し非日常へ移行する描写
5.事件の発端:非日常の本格的な到来の描写
6.試練、仲間、宿敵との出会い:新しい世界での新しい経験の描写
7.ストーリーの深淵の描写:物語の大テーマの描写
8.最大のチャレンジ:試練の克服の描写
9.勝利:勝利の末、得た結果の描写
10.帰路:日常の奪還の描写
11.復活:進化と再生の描写
12.帰路:エンディングの描写
※このステップ自体はどっかからの引用なんですけど、すいません、どこからか忘れましたm(_ _)m
それでは、上記の各ステップを簡単に東京喰種(トーキョーグール)に当てはめてみると、
1.平凡な日常:キャラクターの日常描写
主人公であるカネキ君の、ごくごく普通の大学生としての日常の描写。
2.非日常への誘い:日常から非日常へのきっかけの描写
行きつけの珈琲店のお客さんが実はグールで、突発的事故によりそのグールの臓器が移植され、
半人半妖の犬夜叉みたいな存在へと変貌。
3.非日常の拒絶:非日常に対する葛藤の描写
人間としての心と、グールとしての本能的欲求(人間の肉を欲する飢餓感)との狭間で、もがき苦しむカネキ君。
4.師との出会い:葛藤を克服し非日常へ移行する描写
喫茶店「あんていく」のマスター(芳村さん)がメンター的存在となり、
メンターの教えにより、グールとしての処世術や知識を得ていく。
5.事件の発端:非日常の本格的な到来の描写
親友を殺されそうになる事を契機とし、覚醒し、グール本来の力に目覚める。
余談だけど、アニメ版でこのシーンのニシキくんの、
「しぬしぬしぬしぬしぬううぅぅぅ!!!!!」っていう声優さんの演技、怪演だった(笑)
6.試練、仲間、宿敵との出会い:新しい世界での新しい経験の描写
グール対策捜査官(警察みたいな)との戦いの中で、人間・グールどちらにも存在する、
戦わなければならない理由の描写をし、どちらが正義かを断定しない。
7.ストーリーの深淵の描写:物語の大テーマの描写
その二項対立の中で、主人公はどちら側の感情をも理解できる唯一無二の存在であることの自覚。
そして「この世界は間違っている」の意味を考え、自分が出来る事、双方が共生できる道の模索。
8.最大のチャレンジ:試練の克服の描写
ヒロイン含むグール2名とグール捜査官1名との激しい戦闘
9.勝利:勝利の末、得た結果の描写
激闘の末、グール捜査官に勝利し幼いグールの命を守る。
捜査官目線では、敗北と一人の夫の死を意味する。
10.帰路:日常の奪還の描写
物語の大テーマを考慮しながら帰路につく。
11.復活:進化と再生の描写
後日譚として、死亡したグール捜査官の回想録の描写
12.帰路:エンディングの描写
あらたな局面・物語へと繋がっていく……
という具合に、物語が進んでいくんですよね。
確かここまで単行本で3巻くらいだったと思います。
映画のように1つの完結しているストーリーなら分かりやすいのですが、
連載中の漫画という特性上、まだ「未完」であるので、物語全体を俯瞰するというよりかは
一部の局面をミクロ的に観てみた感じですが、まさに上記のように神話の法則に則った王道の流れでした。
そして、どんな作品にしろ、長編になっていけばいくほど
これらの各ステップを組み合わせ、◯◯編とかのプロットを作成し、
そこに伏線などを織り交ぜ作品の重厚感を増していくものではないのかなーと思います。
で、ここまで読んでほとんどの方が気づいていると思うのですが
神話の法則って言うと大仰な感じに聞こえますが、その内実はアタリマエのことなんですよね。
むしろそのアタリマエの中にある、微細なプロットの構築の部分に
漫画の面白さは往々にして左右されると思います。
たまに、神話の法則を知っていれば物語の流れがわかってしまうから
予定調和になり、同じものの繰り返しを見せられているようだ、っていう人がいますが
上記の理由から、全く同じものなんて存在しないと思うので、そこは誤解なきよう。
ちなみに3巻以降は、アオギリの樹とかいう第三勢力も登場してきて
まさに三つ巴の様相を呈し、物語の深みは増していくのですが、
14巻全体を通してみても、やはり王道的な流れは変わらず
そして王道であるがゆえに、それがもたらすカタルシスも安定さがあるので、
ちょっとサブカルにより過ぎちゃった人とか、クセのある漫画読みすぎちゃってる人とかにおすすめですかね。個人的には。
PS
ああ、あと腐女子にもおすすめです。
たぶん本作のキャラって、腐女子ウケしそうなのが多い気がする。知らんけど。
アイキャッチにもしたウタさんとか人気ありそうだけど、どうなんだろ。知らんけど。
PPS
神話の法則をもっときちんと学びたいという方には、こちらの書籍をお薦めしておきます。
PPPS
本作中に、自分がグールになってしまったことを、
カネキくんが、自身が毒虫になってしまった小説の主人公に例えるシーンがありました。
これ間違いなく、カフカ・フランツの奇作「変身」からの抜粋ですね。
「変身」のあらすじとしては、ある朝目覚めると、身体が毒虫になっていた主人公が
社会や家族から次第に疎まれ蔑まれ、無為に死んでいくというただそれだけのお話です。
ページ数は100ページもないのでさらっと読めてしまうと思うのですが、
個人的にはその設定が面白そうだからといっても、あまり人にオススメできる作品ではないかなーと思ってます。
作品内容をどう解釈するかにもよりけりですが、主な理由としては、
基本的に、社会不適合者となった主人公が、“邪”や”非”の存在とされ
特段救われるわけでもなく、むしろその社会不適合者の主人公が死ぬことにより
家族が囚われていたものから解放され、ハッピーになるという流れだからです。
確かに物語の節々には、家族に対する愛情のようなものは垣間見えるのですが、
だからといって明確なソリューションが用意されているわけでもなく、
ただひたすらと、物語の根底には、ネガティブな負の要素が強く渦巻いているように僕は感じました。
これはおそらく作者であるカフカフランツのバックボーンを理解すると納得できると思うのですが
ここでそれを書き始めると、1つ新しく記事がかけるような気がしてきたので、それはまた今度のお話ということで。
どーしても読んでみたいという方は、青空文庫とかで無料で読めると思うので
お探しになってみてください。
それでは!