今日はAKB48からアナロジー思考(類推思考)で学ぶ!ということで
AKB48を様々な角度から見て、ビジネス的に学べる部分を書きたいと思う。
はじめに断っておくと、僕はAKB48には、ほとんどお金を使ったことはなくて、
いわば知識だけは豊富なタイプです(笑)
AKB48から学ぶビジネスというと、握手券商法や総選挙投票権など、
既存のCDに付加価値をつけた販促方法は、さんざ注目されてきたので
いまさら僕が言うまでもなく当たり前に知っていると思います。
ではなくて本記事では、もっと掘り下げて、別の角度からAKB48というビジネスモデルであり、
そのユニークなフォーマットを紐解いていこうかなーと思います。
このテーマずっと書きたかったんだけど、
なんかいつも纏まらず、書けずじまい、先送りになってました。
で、今回何とか書いてはみたものの、上手くまとまってなかったらスミマセン。
さて、謙遜したところで、早速ですが、いってみよー!(笑)
AKB48とクラウドファンディング
クラウドファンディングとは
まず、クラウドファンディングって知っていますか?
知らない方のために簡単に説明すると、インターネット上でプロジェクト毎に、
不特定多数のユーザーからカンパを集められるシステムです。
カンパしたユーザーはそのプロジェクトのパトロンとなり、
カンパ額に応じた、様々な特典が受けられます。
日本で言うと、キャンプファイヤーとかが有名ですかね。
百聞は一見にしかずなので、実際に見てみると腑に落ちやすいかと思います。
クラウドファンディングとAKB48の特徴
さて、それではクラウドファンディングにもうちょっと踏み込んで、
クラウドファンディングの定義や特徴とは何だと思いますか?
これに関しては以前も少し紹介した、「ニートの歩き方」の著者であるphaさんの意見が腑に落ちたので紹介したいと思います。
phaさん曰くクラウドファンディングとは、
「何かをやりたいときに、それを面白いと思ってくれている人たちを少しずつたくさん巻き込んで、
作り手とユーザーの結びつきを単なる購入とか寄付以上に強くして、なんかみんなで楽しいことをする」
だそうです。うーむ。納得。
個人的に更に言えば、クラウドファンディングの最大のメリットは
商品・サービスリリースの段階で、既に一定数のファンが形成された状態でスタート出来ることだと思います。
一方AKB48ですが、今やもう国民的アイドルグループとなっているので実感は薄いかもしれませんが、
当初は”会いにいけるアイドルグループ”として、その斬新なコンセプトから人気を博したグループです。
これってつまり、ファン(顧客)との密接な距離感というものが、重要なファクターとなっていますよね。
AKB48とクラウドファンディングの共通項
さて、その上で、両者の共通項とは何でしょうか?
AKB48にも、クラウドファンディングにも言えることは、ユーザーとの密接な距離感であり、
そしてその先にあるものは、【誰かを応援したい】ということではないでしょうか。
これはプロデューサーの秋元康氏も言っていることですが、
誰かを応援することによって自分も頑張れる。
つまり、AKB48もクラウドファンディングでの各プロジェクトも
応援することによって自分も頑張れるような対象の側面があるのです。
この【応援】というキーワードには様々な意味合いがあると思っていて、例えば……
男性ファンはメンバーと疑似恋愛をしているかのように応援する。
お父さんお母さん、おじいちゃんおばあちゃん世代は、自分の孫や娘のように応援する。
女性ファンは、私もステージに立ちたいと思って、メンバー視点から応援する。
ビジネスマンは彼女達のプロセス(生き方)を見て、リスペクトの念を持ち、応援する。
または単純に可愛いから、面白そうだからという理由で応援する。
といったように、【応援する】と一言に言っても、
その言葉の中には多様な応援の仕方が詰まっています。
「ファンの皆さんもプロデューサーなのです。この連帯感が多分楽しいのです。
もちろんCDがAタイプ、Bタイプある。でもそんなことは他のアーティストもやっている。それだけでは売れないでしょう」
これは秋元康氏の言葉ですが、まさにそのとおりだと思います。
ファンもパトロンの人も、みんな応援している対象のプロデューサーとして、
共に1つのものを創りあげるという側面を持っているのです。
今の時代、本当に心から応援できるものを持っている人の方が少ないものです。
誰しも、自分の人生に夢や希望を持って生きられる人ばかりではないと思います。
勿論そうできればベストなのですが、様々な環境などで、そうも容易くいかないことも厳としてあるでしょう。
そんな時、夢に向かって徒手空拳で猪突猛進している人を見ると、羨ましいと思うもの。
そしてそんな人を応援することによって、自分もその人の夢を疑似体験できるのです。
少し意地悪な言い方をすれば“他人の夢に乗っかっている”と言えるかもしれません。
しかし目には見えない閉塞感が漂っている今日においては
そんな行為が一種のカンフル剤としての役目を果たしているのかもしれないなーと思ってます。
では、逆に考えて、自分が応援される立場になるためにはどうすればいいのでしょうか。
応援される存在になるためには
個人の夢に他者を巻き込むためには、応援される存在になることが絶対的に必要です。
そして大前提として、人は、全てを犠牲にして、体一つで、
まさに背水の陣で臨むような必死な人を応援したくなるものだと思います。
リスクヘッジという言葉がありますが、何かしらの保険をかけ、安住の地に留まりながらの挑戦よりも、
上記のような人が応援されやすいのは誰の目にも明らかだと思います。
それを踏まえた上で、応援される存在になるための条件として
ここではAKB48にもクラウドファンディングにも共通するものを2つ挙げようと思います。
まず1つ目はズラしの思考です。
「おニャン子クラブはレッスンしていないそのままの素人の女の子。
レッスンを積んで、かつ能力のある子たちが集まったのがモーニング娘。や、K-POPです。音楽的にもすばらしかった。
モー娘。やK-POPが常に完成された一定水準以上のクオリティのものを見せ続けるのなら、
AKB48はむしろ、そこに行くまでの過程を見せるドキュメンタリーなんですね。」
秋元康氏はこう言っていますが、これは一種のズラしの思考だと思います。
常に自分たちは発展途上の段階にいるのだ。だからその途上の段階それ自体を楽しんで下さい。
そして一緒に成長し、成長させていきましょう!的なことを言ってると思うんですよね。
そう考えるのであれば、企業にしろビジネスにしろ、ドキュメンタリー的な魅せ方をするというのは
応援される存在になるための条件の1つだと思います。
ドキュメンタリーが存在するということは、それだけでストーリーが生まれますしね。
もう1つは共感ポイントの演出です。
例えばAKB48でいうところの「組閣」はサラリーマンで言う「人事異動」ですよね。
よく「大組閣祭!」なんてイベントやっていますが、あそこで行われるチーム間移籍により
メンバーが一喜一憂し、様々な感情が相克する様子は、まさにサラリーマンの方が異動を命じられるのと被って
1つの共感ポイントを生み出しているなーと、僕自身はサラリーマンではないのですが、想像していました(笑)
また、個人でビジネスを行っている人は、人事異動のような演出は出来ないと思われるかもしれませんが、
「組閣」の本質は、完成→分解→再構築という創造的破壊のプロセスにあると思います。
それを踏まえれば、どんな形にも応用が効くフォーマットですよね、これは。
夢は夢を生む
最後にカッチョイー言葉でまとめると、
「夢は夢を生む」ということです。
この言葉自体は、たかみなだったか、AKB48の誰かが言っていたのですが、
まさにAKB48やクラウドファンディングにおける真理だと思います。
1つの夢があり、それを追いかける人を応援することによって、また新たな夢が創発され、その連鎖反応によって、
夢の総体はどんどん膨れ上がり、大きな物へと変貌を遂げていくのだと思います。
DRMからマス・マーケティングへ。マス・マーケティングから原点回帰へ
最小公倍数を狙う
「AKBの劇場公演は最初(客が)7人しかいなかった。それを僕はぜんぜん気にしていなかった。
むしろ、この7人が本当におもしろいと思ってくれたかどうか、この7人に刺さったのかどうかが気になった。
本当に面白いと思ってくれれば、その7人から確実に広がっていくからです。」
これは秋元康氏の言葉だが、考えさせられることが多い。
今や巨大グループとなったAKB48だが、そんなグループも当たり前だが、0からスタートしているということ。
そして最初の秋元氏の言葉からも見て取れるように、決して最初から掛け算を狙って行かなかったことが伺える。
最初は堅実に地道に0から1へと、小さい足し算を積み重ねていく。
そしてその積み重ねに、いつしかレバレッジがかかる時が来る。
つまり、最初はDRM的手法をとっていたということ。
しかし、僕が疑問に思っているのは
そのDRM的手法をマス・マーケティング的手法や全方位戦略へと切り替えた後のことだ。
最大公約数へのシフト
一見するとAKB48は薄利多売のように多くのユーザーから少しずつ課金しているように見えがちだが、そうではないのでは、と思う。
例えばソーシャルゲームにありがちだけど、蓋を開ければ、一部のコアファンが実質収益の殆どを担っていることが少なくない。
俗にいうパレートの法則みたいな感じで、2割のコアファンが8割の収益を上げているようなイメージ。
AKB48もそのような収益基盤になっているのではないかと思っていたりする。
現に僕自身もAKB48や乃木坂は好きだけど、お金は全然使わないし、握手会やライブにも行ったことはない。
けれど知識だけはあるという感じ。おそらく、こういう層のファンが膨大な数いると思う。
そしてその層のファンを転換させるためには、現状のマス・マーケティング的手法ではなくて、DRM的手法へと
再びシフトさせるほうがベターでは?と思っている。
が、きっと、というか当たり前だけど、秋元さんはそこら辺もわかった上なのだろう。
おそらくホームタウンとして各都市に劇場がある以上、ブームが終わり、人気に陰りが見えたとしても
最終的には、劇場に原点回帰し、また1からスタートすればいいんじゃないかと思っているのではないか。知らんけど。
しかし今の段階でDRM的手法を地で行っている一人のAKBメンバーを紹介したい。
田名部未来(たなみん)から見る、原点回帰
AKB48 三期生 田名部生来(たなべみく 愛称:たなみん)
AKB48が国民的アイドルグループとなり、最小公倍数を求めに行っていた時代から、
マスを取りに行っている印象を受ける昨今。
“干されのアイドル”として、3期生で入ってから8年間。
3期生といったら、今や人気メンバーのまゆゆやゆきりんと同期。
というか、現時点でAKB48に残っている3期メンバーがこの3人しかいない。
まさに、まゆゆやゆきりんが陽の存在なら、陰の存在である、たなみん。(笑)
そんな彼女が、この間の総選挙で71位にランクインしたことを記念して、
ファンと一緒に祝杯を上げる(酒を飲む)イベントを開催した。
現役のアイドルがファンと一緒に酒を飲むイベントって、色々と賛否両論ありそうだけど、
会いにいけるアイドル(飲みに行けるアイドル)を地で行くような、
再び最小公倍数を求めに行くDRM的手法だと個人的には思う。
というか、これ、ファンの方は嬉しいだろうなー。応援してるアイドルと酒飲むイベントって。(笑)
そしてこれは皮肉にも、ランキング上位のメンバーでは、倍率などの問題から出来ないであろうことから、
まさに彼女にしか出来ないイベントなのだと思う。(倍率は2倍程度だったらしい)
AKB48が強い理由の一つは、ぱっと見、国民的アイドルグループなんだけど、
その中をよーく覗けば、彼女のようなストーリーをもった「個」が山のようにいること。
話題に尽きない。
そしてその一人ひとりのストーリーの魅せ方において、秋元康というプロデューサーは神がかっている。
そう考えると、今飛ぶ鳥を落とす勢いのももクロはヤバイかもしれない。
なぜなら、ももクロはメンバーが5人で固定だ。ストーリーは5人以上に増えない。
創造的破壊にも限界があるのではないかと思ったりする。まぁ、ももクロのこと全然知らんけど。
こんな感じでアナロジー(類推)思考すると楽しいよね。
あー、やっとアイドルについて書けた!
ここまでお付き合い頂いた方ありがとうございます。
それでは!
PS
「AKBが面白いのは、それぞれの土地で同じように女の子を16人、20人、30人集めてスタートすれば、
そこにまたストーリーが、ドラマが生まれますよと。AKBのコンセプトというのは、ユニークなフォーマットです。」
秋元康氏は、これを応用して、全世界版の総選挙もやってみたいと言っていた。
日本選抜、アメリカ選抜、ジャカルタ選抜、上海選抜、から選りすぐりのメンバーだけ集めて
まさにオールスターチームなるものを作ってみたいと。
いやはや、彼が言うのなら実現する気がする。
現時点で既に地盤を固めつつあるしね。
しかしこのフォーマットは、なにもアイドルに限ったことじゃなくて、
ビジネスにも考え方次第で幅広く応用できると思う。
PPS
AKB48のドキュメンタリー映画。オススメです。
ドキュメンタリー集団が、あえてドキュメンタリー映画を作るというパラドックス。
2作目は特に野戦病院もののようで高い評価を受けていますよね。
あーゆー魅せ方も勉強になります。