ピンポン
映画化もされた松本大洋さんのスポ根卓球漫画!
なんといっても最終巻のペコとドラゴンの試合が泣けます。セリフなんてないんですが、2人が卓球してるその絵だけで胸が熱くなるんです。
スポ根漫画という変な先入観は排除して、考えずに感じるように読んでみることをオススメします。
恋の門
こちらも映画化された、激しい熱量の異質純文学コミックです。
主人公は漫画家なんですが、なんと石で漫画を書いています。前衛的なんだかよくわかりませんが、吹き出しやコマ割りなんかも全て石を並べて造っています。
そんな男と腐女子の女がこれまたなんだかよくわからないけれど、激しく恋をします。そしてなんだかよくわからないけれど 、その絵柄もあいまって気付いたらただただ2人の愛憎劇に圧倒されている自分がいます。そして圧倒されたまま終わっていきます。そんな漫画です。
俺はまだ本気出してないだけ
最高です。もう表紙から既に哀愁漂ってます。40代の子持ち中年がニートから一念発起して漫画家を目指す物語。
僕おっさんに弱いんですよ。特に挑戦者なおっさんにグッとくる。そんなわけでこの作品はドンピシャでした。
作画は見ての通り自由帳の落書きみたいな感じなんですが、その絵柄自体も作風に合ってて読み終わる頃にはこの絵柄以外はあり得なかったんじゃないかと思えるほどです。
基本的に主人公のおっさんはダメダメに描かれてはいるものの、現実に即して考えればこのおっさんカナリかっこいいですからね。年齢とともに保守的になっていく大人が多い中、挑戦者としてのイデオロギーはいつまでも忘れてはいけないと思うわけです。その点において彼はヒーローだなと。
まさかこの絵柄で泣かされるとは思ってもなかったのですが、最終巻で泣いてしまいました。おっさん好きの方には是非読んで欲しい作品です。
ロッタレイン
1年を通して素晴らしい漫画ってたくさんあるんですけど、文字通り”魂を揺さぶる漫画”ってのはそんなに多くはありません。映画も本も漫画も、ある程度読んでいると、作品として素晴らしいものと自分の心の琴線を揺さぶるものは異なることが分かってくる。その意味において本作は2017年年の瀬に読んで、僕の魂を少なからず揺さぶりました。
お話自体は30歳♂と13歳♀のロリコン恋愛ものなんですが、この作者の、手に入れられないとわかっているものに対する憧れや自分の劣等感に起因する焦りのようなものの描き方が半端じゃない。
また、押見さん作品じゃないですが、本作もキャラに多くは語らせません。その代わり、一コマ一コマの絵に含まれる情報量がとてつもなく多い。そこを感じ取れると本作の衝撃度は上がると思います。
読んだあと「あーおもしろかった!」となる作品も素晴らしいとは思うのですが、個人的に魂を揺さぶられるのは読後、心に大きな”しこり”を残す作品です。僕は本作の余韻にしばらく時間を奪われました。
全3巻ながら静かな熱量をはらんだ本作、今年の年末に読むならこれがおすすめです。
月曜日の友達
2018年に入って一発目の泣かされ漫画。
将来に対する漠然とした不安。塩害に犯される錆びた街に流れる茫漠とした時間。
そんな街に生きる少年と少女の物語。
故郷を出ていく者。故郷に留まる者。
忘れていた時間の中に、そこでしっかりと生きている人間の存在を思い出す。
全2巻でここまでまとめあげたのはすごいなぁ。とても良い作品でした。読んでみて。