ブラックジャックによろしく(佐藤秀峰)
医療×哲学×涙
どれか1つでも引っかかった人は読んでみてください。
漫画ではめったに泣かない僕ですが、久しぶりに“滂沱の涙”と言ってもいいくらい、号泣しました。
パソコンで読んでたのですが、鼻水が垂れてキーボードについて大変でしたわ。
ぬちゃぁ~ってなるんで。そこだけ注意して下さい。
この作品は二次利用フリー化で大きな話題を呼んだことはご存じの方も多いと思いますが、その経緯についてや、昨今の出版業界を取り巻く不況、そして出版社と漫画家という立ち位置に関しての芳しくない現実などを知れる、著者の【漫画貧乏】という書籍が、著者のサイトで無料で読めるのでそちらも本作と合わせて読むことをおすすめします。
ナナとカオル(甘詰留太)
はい、天才。
いやー、この作品読んだ時、脊髄に電流走りましたわ。
ビビっときましたわ、文字通り、ビビっと。
この作品自体、死ぬまでにシリーズに入れようか迷ってたんですよね。
なぜっていったら、バレるじゃないですか。
性癖が、僕の。
――でも気付いたんですよね。
僕の性癖を披露する恥ずかしさよりも、この素晴らしい作品の価値を世に広めないことのほうが、人間としてよっぽど恥ずかしいということに。
そして本作についてはあまりここでは触れません。
なぜって、本作のどこが素晴らしいかを僕が延々と述べたところで、
その道の嗜好が無い方にとっては、
「は?いみわかんねー」
となっている姿が容易に想像できるからです。
しかし、もしSMに(いってもた)少しでも興味がある、またはその世界を覗いてみたいのであれば
ぜひともこの作品を読んでみてください。そして、存分に感じてみてください。
特にナナとカオルBLACK LABELの泥のシーンとかたまりませんよ。
SMにおける、抽象世界を凄まじく上手く表現してます。
もはや圧巻で読んでる時言葉失いましたわ。
そういえば更科も、
「言葉では分かり合えないからこそSMをやる」みたいなキザなセリフ言ってましたわ。
僕もそんなセリフ言ってみたいもんですわ。「こ、こ、ここ、ことばで、で、は、……だめだ噛んだ」
惡の華(押見修造)
これはもはや漫画というよりも、純文学の域に達していると思う。
ロトスコープに批判が相次いだアニメ版も個人的には大好物。
というより実はアニメから本作を知った人だったりする。
ヘルプマン(くさか里樹)
もうずーっと社会問題として顕在している介護の話。
漫画としても素晴らしいし、介護問題を考えるための良書でもある。
何より本作を読んで介護事業で起業した人が巻末にちらほらでてくることからも、この作品の衝撃度の高さを窺わせている。
キーチ
良い作品の条件の1つに、それ自身が答えではなく「問い」であるという点が挙げられると思う。その観点で言えば本作は僕にとって、いや多くの読者にとって大きな問いとして立ちふさがってくるであろうと思う。
「なんとなく」とか「仕方がない」とか「どーせ」だとか、そんな世間に渦巻く集合的無意識のようなものに対して、キーチは純粋な怒りをぶつけてくる。本作において国を動かす力は「金・法律・情報・暴力」というフレーズが出てくるが、僕はこれに対して「愛」も付け加えたい。僕自身本作を読み終えて最初に抱いた感情が「愛憎」であったし、キーチ自身の純粋な怒りの中には愛があったと思っているからだ。
この作品は幼くして両親を通り魔事件に襲われた少年が、様々な事件を経てカルト的教祖となり、国家に対して革命の狼煙を上げていく。しかし本質的にはこれは人間の話なのだ。人間としての在り方についての話なのだと思う。
もし今後、自分が小さくまとまりそうになった時には読み返したいと思う。この作品の言葉を、通奏低音を、キーチの在り方を。
四月は君の嘘
この作品は有名すぎるので読んだことがある方も多いんじゃないでしょうか。
まるでポエムのようなセリフが若干鼻につきますが、そこを差し置いても演奏シーンの演出は圧巻です。逆に言えばそこにイマイチ入り込めない方は、そこまでハマる作品ではないと思います。ただしハマってしまうと目から汗が流れ出すこと必至です。
リリカルなセリフが気になる方はBLUE GIANTの方をオススメします。
ホムンクルス
あの殺し屋1の作者、山本英夫さんの作品です。トレパネーションという頭蓋骨に穴を開ける手術を受けた主人公が、それによって第六感を呼び起こされ、人間に潜む様々な異形のものに対峙していく物語です。
異形のものとはいってもバトルアクションという訳ではなく、その人間の深層心理に潜むものとの対峙と言った方が正しいかな。
人間って誰かと話しているように見えて、実はその奥にいる自分と話していたり、対峙していることがほとんどだと思います。本作はまさに他者を通しての自分という人間との対峙がメインテーマとして描かれており、かなり哲学的・スピリチュアル的な内容になっています。
これは万人を通しての普遍的なテーマだと思うので、そっち方面に興味がある方は是非読んでいただきたい作品です。
BLUE GIANT
物凄い熱量のジャズ漫画。ボロボロ泣きました。
四月は君の嘘もそうでしたが、本作も音の出ない漫画というメディアにもかかわらず美しくも激しいジャズの旋律が聞こえてくるかのような熱量のある漫画です。
四月は君の嘘の方は演奏シーンにわりとポエムみたいなモノローグの応酬になっているのですが、本作の演奏シーンの多くはセリフ一切なしです。
しかし、むしろセリフがある場合よりも情報量が多く、純粋に音を楽しんでいるような感覚にひたれるのです。セリフ無しで1話まるまる使ってしまえる勇気と自信もすごいですが、それが見事にハマっているのですからもう文句のつけようがありません。
なかなか出会うことの出来ない超・超・傑作漫画だと思います。
ピアノの森
ブルージャイアントや、四月は君の嘘が好きな人なら絶対ハマる。
ひたすらに美しい作品。
演奏描写は四月は君の嘘のような感じでポエトリーちっくな描写が続くが、それでも目から汗が出てくる。