この年にして、乗り物が苦手なことが判明した。バスの揺れが気になり、結局ほぼ眠れないまま、発心の地「徳島」に到着した。
レトロな電車に揺られながら板東駅に着き、そこから1番札所「霊山寺」に到着した。
梁山寺の大師堂に入るとお寺の女性の方に台を移動するのを手伝って欲しいと声をかけられ、お安い御用!とコンマ数秒ほどだけ台を持ち上げたところ、早速ロウソクのお接待を頂いた。今考えてみればあのお手伝いは、きっと、手伝ったのではなく、手伝わさせて頂いた、のだと思う。
その後遍路用品を買おうとショップに立ち寄ったところ、そこにいた尼さんに色々とありがたいお話を聞かせて頂いた。「他人は変えられないけど自分は変えられる。」的な自己啓発書によく書いてあることだけど、尼さんがいうとありがたみが違う。親にも3日に一回はきちんとメールをすること。お遍路は人。人とたくさん触れ合いなさいというアドバイスも頂いた。
結局、1番のショップは他のところよりも割高だとネットで調べていたので、納経帳と納め札だけ買って出発しようとしていたところ、まさかの白衣のお接待もして頂いた。そればかりか女尼さんと若干の話も弾み、コーヒーと数珠のお接待も頂いてしまった!!!
初っ端から甘やかされすぎである笑
そんなこんなで、しばらく1番でのんびりした後、入り口付近にあるいささか不気味なパンダの置物に見送られながら2番へと出発。
ちなみに今回の遍路ではロウソクと線香はあげない、お賽銭はその日最初の寺のみというルールでやっている。参拝方法は一応基本はあるものの、個人で好きにしてもいいという懐の太さも、お遍路人気の理由の1つかもしれない。
そんなこんなで2番到着。
お庭がとても綺麗
遍路を世界遺産として登録しようとする動きもあるらしい。
2番のショップで先ほど買えなかった金剛杖を購入。いざ使ってみると、足にかかる負荷を分散させてくれていて実に有能だった。
まだまだ足は軽い。3番から山道を経由し4番へ。。。
4番へと向かう道中の中で愛染院という善根宿のようなところに、無料でお抹茶と和菓子、冷たいドリンクをお接待して頂いた。それを団体のお遍路さん達とともにいただく。更にはその団体さんの1人に、その人もお遍路さんだというのにもかかわらず、僕が歩きという事を告げると1000円のお布施をお接待して頂けた。お接待とはお遍路さん以外がお遍路さんにするものではなく、お遍路さん自身もお接待という行為自体をどんどん循環させていけることができるのだと感動した。
お接待を頂いた方にはきちんと納め札を渡し感謝の意を表し、予定していた昼食ポイントで軽くうどんを食べる。
が、いかんせん量が少なすぎたために腹5分目にも満たぬまま5番札所を目指して進む。
日差しがきつくなってきたので、この5番札所で菅笠を購入。これで一通り遍路用品は揃えたことになる。
ここまで歩き遍路さんとすれ違うことがめったになかった。やはり団体ツアーで回る人が多いのか霊場ではお遍路さんとよく会うものの、道中は基本的に同行二人の旅が続く。
そのせいかどうか、次の6番安楽寺までの道のりがとても長く感じた。これは歩き遍路さんあるあるだと思うのだけれど、金剛杖のコツーンコツーンという音が大師様と会話しているような感覚に陥るときがある。この6番に向かうまでの道のりは、ひたすら「人と話す」「人を聞く」「人を生きる」ということを考えていた。これらは全部繋がっているように思う。
6番と7番の山門、もはや同じである。6番は弘法大師の御本尊があるとのことで、それが理由かは知らないが、初めて、大師堂でお経を唱えている際に、何かと一体になるような感覚に、一時包まれた。その感覚で足と肩の痛みをごまかしつつ、本日最後の7番で打ち止め。
明日は遍路ころがしと呼ばれる12番以降の山道に備えるため、11番で打ち止めをするのがセオリーらしい。11番周辺には何もないため事前に食料などを調達しておかなければならない。
余談だが、やはり人とは積極的に触れ合うといいという1番の尼さんの言う通り、5番の納経所の番台の方とお話をさせてもらっていたら、四国八十八箇所野宿リストなるものを頂いた。歩き遍路には有名なものらしいが、お遍路道の確認出来た野宿可能場所が一覧でリストアップされている。素晴らしい。
そして本日野営する場所は、御所の郷という健康ランドのような温泉施設の駐車場で決定。
カウンターの方にはコンセントも貸していただき、駐車場でのテント泊OKの了承も頂き、ありがたすぎてお接待をしてもらったわけてはないが、納め札を渡しておいた。
そこでの入浴後、死ぬほど腹が減っていた僕は、真っ先に食堂へと直進し、親子丼とミニうどんセットを注文した。
泣きそうになった
いや、割とマジで。
別にめちゃめちゃ美味しいわけじゃないけど、心身ともにひもじい時に食べる温かいものはこんなにも心にしみるのかと。
泣きそうになって、そんな自分に照れながら1人ニヤニヤしながら食べてた。完全に危ない
弱ってる時に優しくされるとやっぱずるいよね。僕は弱い人間なんでそーゆーの普通に刺さります、きっと。
ニヤニヤしながら一通り食べ終えて、普段なんか誰が好き好んで飲むかよっていうどんのスープも飲み干して「この子、何日ご飯食べてなかったんやろ」状態であったと思う。
そんなこんなで1日目もなんとか終わり、今これをテントの中で書いているのだけど、1人テント超絶怖い。
【PS】
道中にあった無人農家。レンコン怖すぎ
【支出】食費1300円、雑費240円、交通費260円、遍路用品5300円、入浴料600円
合計7700円
【歩行距離】25.6キロ
【参拝霊場】1.2.3.4.5.6.7番