トミーさんに朝ご飯をご馳走して頂いたばかりか、差し入れでカロリーメイト的なものをたくさん頂いた。さすがに旅人経験があるだけあって旅人が重宝するものが分かっている。
トミーさんの日本一周カブで、声をかけて頂いた国道辺りまで送って頂く。風が心地良い。カブで日本一周もきっと楽しいものなんだろうなぁと思う。
トミーさんありがとうございました!
また日本のどこかでお会いししましょ!
トミーさんと別れた後国道を歩いていたものの、日差しが強すぎてすぐにバテて近くにあった鹿島灘海浜公園で休憩をすることに。
丘の上からは太平洋が一望できた。
少しの休憩だったはずが、結論から言えば本を読みふけったり昼寝をしていたら夜まで海浜公園に滞在してしまった。まぁ急ぐ旅でもないのでこういうのんびりとした日もそれはそれでよいものだ。この公園は道の駅みたいな構造をしていたので野宿場所としてはベストだった。定番の東屋の下にテントを張る。
翌朝、太平洋を見に行こうと荷物をまとめ歩き始める。高台に浜辺を一望できるいい感じの東屋を見つけ、そこに腰を下ろす。
前々から読みたいと思っていた中島らものエッセイを太平洋を横目に読みふける。飽きたらそのまま横になって昼寝をする。それにも飽きたらのそのそと起き上がってコテージのような道を歩き始める。
歩きたくなったら歩く。疲れたら休む。人間の原始的な欲求に従ってやりたいことをやりたい時にやりたいだけやる。 今は資本主義社会だからそんな生き方は外野から色々と言われるけれど、難しいことを抜きにシンプルに考えれば、本来、それが一番人間らしい生き方なのかもしれない。
太平洋沿いをしばらく歩いて国道に戻る。
途中いい感じの神社に参拝して
最近話題の大洗の原子力研究センターを横目に国道を歩く。
そうこうしていると時刻は19時になっていた。大洗に着くのは20時を過ぎそうだなぁと思っていると、不意に横に車が止まる。
「どこまで行くんや?」
しゃがれた声で中からおじいさんが声をかけてきた。
「大洗の方に向かってます!」
「乗るか?」
僕は二つ返事で車に乗り込んだ。
――で、ちょっとここからおかしな展開になるので文体を崩します。
まず大洗周辺を二人でドライブした後「夕飯ご馳走してやる!」と言ったおっちゃんはおもむろに携帯電話を取り出して誰かに電話をかけ始めたんですよ。
おっちゃんの受け答えを聞いていると、どうやら知り合いに「飯奢ってくれ!」と頼んでるんようだったんですが、めっちゃ断られてるんですよ。
そこでおっちゃんも「今日は付録(僕のこと)もいるからさぁ!!!」とか言って食い下がるもんだから僕としては「いや、それ気まずいやん」とか思ってたわけです。
結局その電話はおっちゃんの携帯の充電が切れるという形で幕を下ろしたわけですが正直ホッとしましたよね。だっておっちゃん終いには僕とめちゃめちゃ義理堅い関係なんやで!頼んますわ!みたいな感じで説明してたんですけど、会ったの数分前ですからね。
その後「高いもん食わせてやろうと思ったけどごめんなー!」と言いながら国道沿いにあった幸楽苑というラーメン屋で夕飯をご馳走になったわけです。
たぶん昔ながらの隣人愛に溢れた優しい人だからこその行動だと思うんですけど、ここからそれに拍車がかかっていき、
「今日はどこ泊まるんや?」
「野宿です!」
「うち泊まるか?」
「!!!!いいんですか!?!?!?!?」
っていう流れになったんですけど、まずおっちゃん自分の家のはずなのに「あれーどこだっけかなぁー……」とか言ってるんですよ。この時点で一抹の違和感は感じてたんですが、いざ家に着くなりおっちゃんがおもむろに戸をドンドンやり始めたので詳しく聞いたところ、なんでもチャイムが無い家らしく、携帯の充電も切れているので家に入れないっぽかったんですよね。
そしたらおっちゃんが「じゃあ次んとこ行くか」ってぼそっと言った瞬間に僕の頭の中に「???」が浮かんだわけです。
普通「うち」って言ったらおっちゃんの家のこと言ってると思うわけじゃないですか。で、勿論僕もそうだと思ってたんですけど、よくよく聞いてみれば、おっちゃん、親戚の家に僕を放り投げようとしてたんですよね。そんでもって次行った家なんかもはや親戚でもなんでもない知人宅でしたからね。アホかと。いや、逆にすげーなと思いましたね。
で、結局知人宅も居留守されてるのか分かりませんが全滅でして「じゃあうち来るか!?」って言ってここで初めておっちゃんが住んでる家に行くことになったわけです。そんな感じのおっちゃんだったんで本当に家に押し行って家族の方は大丈夫なのか念を押して確認しつつ、数分でおっちゃんの家に着きました。
そして玄関に入るやいなや
「ちょっとここで待ってて。今大丈夫か聞いてくるから。」
――っておい!!!!!
とか思いながら呆然と玄関に突っ立ってたらおっちゃんが戻ってきて
「んーーー……まぁ、、、たぶん、、大丈夫やろ。。。」
って明らかに大丈夫じゃないんですよね。
「いや普通に迷惑そうなんでそこら辺でテント張るんでー…」と言ってはみたものの、もう玄関まで入っちゃってる手前おっちゃんに促されるままなし崩し的に家の中へと入ったんですがそれはもうアウェイ感が半端なくて、お母さんに「こんばんはー!(笑顔)」「夜分遅くにイキナリおしかけてすいません!」って適度に捨て犬感出しつつそれはもう努めて朗らかにあいさつをしたわけなんですが
ガン無視されたんですよね。
――「あ、これはダメなやつだ。」と悟りましたよね。
おっちゃんは横で「気使わなくていいからな!!!」とか言ってるんですけど、いや、この状況で気使わない方が無理な話なわけで、正直出して頂いたメロンの味とかあんまり分かんないばかりか、むしろスプーンに描いてあるニコちゃんマークみたいな顔がこの状況を嘲笑っている隠喩のような気がしてきてしまうくらいには気まずかったんですよね。
「よし寝よう!」
「こういう時は寝るに限る!」
と思い、おっちゃんとしばし談笑した後にそそくさと床につかせて頂きました。