「ねぇ、おばあちゃん。死んだらどうなるの?」

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登場人物

イカ(ぼく)

イカのおばあちゃん

ぼく「ねぇ、おばあちゃん。死ぬってどういうこと?死んだらどうなるの?」

イカおば「そうゲソねー。おばあちゃんも、それに関してはまだ分からないでゲソ。」

「この世には色々な思想や、哲学、宗教といったものがあって、

その一つ一つが死というものに関しては三者三様で、決まった1つの答えはないのゲソよ。」

ぼく「しそー?しゅーきょー?よくわからないけど、みんな死についてはよく分かっていないってこと?」

イカおば「そーゆーことゲソね。だって誰も死んだ人と話したことはないし、

自分で経験したことがないのだから当然といえば、当然ゲソね。」

ぼく「そ~なんだ~。じゃあおばあちゃんは、死について、どんなふうに考えているの?」

イカおば「そーねー。おばあちゃん達イカは、いつか死ぬゲソね。今まで何十億というイカが死んでいて、そこに例外はないゲソ。」

「みんな勿論死にたくはないゲソ。でも、それは免れない自然の摂理だと思うゲソ。」

「おばあちゃんは、毎日死を意識して生きるのは難しいと思うゲソ。でも逆に、死というものから常に心を遠ざけていられるか?

と問われたら、それも懐疑的ゲソ。」

「それを踏まえた上でおばあちゃんの死生観は、死を受け入れた上で、【死んだりゃ、また、生き返りゃいい。】でゲソ。」

「死後のことは誰にもわからないのなら、万物は輪廻転生するという生き返りの思想を持っていれば、

別に死を恐れることはなく、むしろ希望の方が勝ると思うゲソ。」

ぼく「そっか~。死んでもまた生き返れるんなら、なんかワクワクするね!!」

「ぼく、次生まれるときは、人間に生まれてきたいなぁ~。」

「もう食べられる危険におびえて生活したくないよ。」

イカおば「そうゲソね。でも人間になったらなったで、また別の何かに怯えることもあるかもしれないゲソよ。」

ぼく「えー!!あんなにどうもうな人間がおびえるものってなにー!?」

イカおば「それはおばあちゃんは人間ではないから分からないゲソよ。ゲソゲソゲソ!(笑っている)」

ぼく「うーん。しょくもつれんさの頂点にいるのに、なににおびえるんだろ~」

ぼく「それでおばあちゃん。さっきの話に戻るんだけど、生まれ変わったら、なんていうか、

今こうして僕が考えていることとか、なんていうんだろ、こころ、っていうのかな、それとかはどうなっちゃうの?」

イカおば「いい質問ゲソね。」

「これはあくまでおばあちゃんの考えなんだけど、おばあちゃんは肉体と心は別物で、

肉体というのはあくまでも、心のエネルギーを伝えるための器だと思っているゲソ。」

「だから死を迎えると、その器である肉体が滅びて、魂だけが生まれ変わると思うゲソ。」

「そして生まれ変わりの際には、今まで生きたこと全てが清算されて、まっしろの、ゼロの状態になって

また新しく生命が誕生するのではないゲソかな。」

「ちなみに全てが清算されると言ったけれど、これは現世での善い行いと悪い行いがポイントのように

ちゃりんちゃりんと、“死”という1つのゲームクリアを持ってして、最後に払い戻されるイメージゲソね。」

「勿論善い行いはプラスのポイントに、悪い行いはマイナスのポイントになるゲソよ。」

「そして最終的なポイントがプラスに傾いていればいるほど、来世での魂が、

より宇宙からエネルギーを貰える種類の動物へと昇華させてもらえると思っているゲソ。」

「宇宙エネルギーが高い動物を分かりやすく言えば、さっきあなたが言っていた食物連鎖を思い描いてみるゲソ。」

「頂点に君臨する人間という動物は、一番宇宙からエネルギーを貰っていて、

生まれ変わって人間になりたかったら、現世で良いことをたくさんしなければだめゲソよ。」

「逆に現世で悪いことをたくさんしてしまうと、最終的にマイナスポイントがたくさん溜まってしまい、

来世では犬畜生などのように、エネルギーが低い動物になりやすくなってしまうゲソ。」

「そう考えると、今、魚やアリ、昆虫などとしてこの世に生を受けている者たちは、

全て前世でマイナスポイントが溜まっていた魂と考えることが出来るゲソ。」

「本人たちは意識してか、しなくてかは分からないゲソけど、そういうエネルギーレベルが低い動物になって

現世で改めて徳を積み、来世でまた人間になれるように、無意識下で頑張っているのかもしれないゲソね。」

ぼく「おばあちゃん、まさかのここまで息もせずにしゃべってたけど、だいじょうぶ?」

「めっちゃヨダレ垂れてるよ。軽く引くレベルだよ。」

イカおば「ゲソゲソゲソ!ゲホォッ!!!」

ぼく「!!」

ぼく「おばあちゃんだいじょうぶ!?」

イカおば「だいじょうぶ……。だいじょうぶゲソよ。」

「それより、心の行方についてはある程度参考になったゲソか?」

ぼく「うん!」

「つまりは、いんがおーほーってやつだよね!!」

「ぼく、やっぱり人間になりたいから、生きているうちにいいことをたくさんして、ポイントを貯めておこうと思う!

それに地獄耳の神様に悪いことをして、隠そうと思っても無駄ってことも分かったよ!」

イカおば「素晴らしいゲソ。」

「じゃあ早速、今日からは全てのことに感謝することから始めてみるゲソ。」

ぼく「感謝?感謝かー。でもなにに感謝すればいいんだろう?」

イカおば「よーーーく考えてみるゲソ。イカは皆、往々にして、当たり前のことを当たり前と思い、感謝に値しないと思っているゲソ。」

「でもそれは感謝に値しないのではなく、単に気づいていないだけなのでゲソ。」

「人間に捕獲されてから、ほとんどのイカは、当たり前に泳げていた海の自由さに感謝をするゲソ。」

「でも本来は、常日頃からその気持ちを持っていないといけないのでゲソ。」

ぼく「なるほどなぁ~。確かにちょっとケガをした時とかになって初めて、健康なときのありがたみがわかるけど、

常日頃から健康に感謝し、それを維持し続けられるように努めなければいけないんだなぁ。」

イカおば「その通りでゲソ!」

ぼく「わかったよおばあちゃん!僕、まずは当たり前のことに当たり前に感謝できるイカになることか始めて見るよ!」

イカおば「頑張るんでゲソよ!」

「それはそうと最初から思っていたゲソけど、なんで語尾にゲソを付けないゲソ?」

ぼく「んー……だって、ゲソゲソ言ってると……」

ぼく「……あ!もうこんな時間だ!」

「今日海底ナイトショーで有末剛の緊縛ショー観なくちゃだからもうイカなくっちゃ!イカだけに!」

「じゃあおばあちゃん今日はありがとね!!」

イカおば「……」

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