【四国遍路】人間、頑張ればなんでもできる【15日目】

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久しぶりの布団と、昨日の素晴らしい出会いのおかげで体力気力ともに全回復した。しかし寝た時間が時間だったために、ホテルを出たのはこの旅で1番遅い、10時になってしまった。まぁ、いいか。急いでいるわけではない。

次の札所に向かうまでに、昨日のお店「大吉」さんの前を通る。清掃中だった。


一礼し、近くにあったドラッグストアで湿布と電池を買う。足は常にどこかしら痛むが、もうそれにも慣れた。

高知には「高知家」という高知県で1つの家族である、という考え方があるらしい。まさに!!と思った。ブロガーのイケハヤさんが高知に移住した気持ちも、今はすごくよく分かる。人があったかい。人が、一人一人、きちんと生きているのを感じられる。


歩き遍路をしていると、人とたくさん関わることになるが、それは何もコミュニケーション能力の高さの話ではないのだと思う。

そもそもコミュニケーション能力とは、なんなんだろうか。それは、会話の巧拙は関係なく、自分をさらけ出し、真心で相手と接せられる能力なのではないか、と思う。

上辺だけの会話が上手い人のことをコミュニケーション能力が高いと言うのならば、コミュ力なんていらない。ネタで言っているのならばいいとして、本当に自分にコミュ力がないと思っている人は、それは、相手に自分をさらけ出せない人のことだ。肚を割って話すためには、恐れずに、自分をさらけ出さなければ、理解するためには、まず、理解に徹しなければ。

遍路をして、多くの人と関わっていると、そんなことを薄ぼんやりと感じる。

雨の中を超スローペースで歩きながら33番、34番札所に到着。



34番札所の参拝が終わったのは16:30頃で今日はもう35番の参拝は厳しかったが、出発が遅かったためまだ20キロしか歩いていない。足もまだ行けそうだ。次の35番清瀧寺までは10キロちょっとの道のりで、山も少し登ることになるのだが、納経所の方の「次行くならきいつけなー」と頂いた飲み物とお菓子のお接待という名の無言の圧力もあり、自分を信じて試してみるか、と、行くことにした。

通夜堂に泊めて頂けるかどうかの確認のため、清瀧寺に電話をかける。納経所は17時に閉まってしまうため、遠回しに断られているような感じを受けたが、何とか無理を言って泊めて頂けることになった。迷惑をかけているのを感じる。

片付けを終えた後、帰らないで僕のために、わざわざ雨の中待っていてくれるというのだ。彼女か。通常のペースで行けば3時間はかかるが、そんなにモタモタしていられないと、早歩きで、時には小走りで清瀧寺に向かって歩き出す。

西遊記に出てきそうな、雲なのか霧なのか池なのかの境界線が曖昧な、霞みがかった土手を進む。

雨の中、険しい道のりを延々と歩いていると、足の痛みも麻痺して何も感じなくなり、意識もぼおっとして、いわゆる「ゾーン」に入る時がある。しかしゾーンに入っている間は自分がそこにいるとは思わず、ただひたすら、淡々と歩いているだけなのだ。「ああ、今、無の境地だなぁ」なんて思う時は、まだまだであり、本当に無の状態の時は、自分が無であるということすら思わない。

般若心境で有名な色即是空の「空」とはすなわち、自分が自分であるという自我すらも壊れ、世界がドロドロの状態であるというそのままのものを、ただ、あるがままに見ているだけのことなのではないかと思っている。これは仏教用語では「無分別智」と言うらしいが、個人的には条件反射に近いものなのではないかと思う。熱いものに触れた時、人は何を考えるまでもなく、「あつっ!」と手を離す。その行動に至るまでに自分の意思や意識は介在しない。無分別智もゾーンも一種それに似たようなものなのではないか、と。まぁこんなことを「考えて」「書いている」と言う時点で、僕は「空」や、老荘思想でいうところの「無為自然」の境地にはまだまだほど遠いなぁとも思う。

この記事は後から思い返して書いているが、清瀧寺に向かうときはそれこそ一種「ゾーン」に入っていて、最後の山門の長い階段を登り切った後には「人間、頑張ればなんでもできるものだな」と笑みがこぼれた。


到着時刻は19時だった。通常より1時間のショートカットである。お寺の人も僕の姿を見て笑っていた。

その後クタクタの状態で通夜堂に入る。結構広くて、畳の部屋が2つもあり、歩き遍路をしている身としては、ここは旅館なんじゃないかと思った。


蛇口の水は湧き水で飲めるらしく、なんと部屋にはストーブもあった!雨で濡れた身体には天国である。お風呂代わりに身体を濡れタオルで一通り拭き、足の治療を済ませた後、部屋を軽く物色していると、この旅で最大級の蜘蛛を発見した。


タランチュラ並みにデカイ。足腰も丈夫そうだ。お前は歩き遍路したのかと。

部屋は2つあったので先客(蜘蛛)がいる部屋は譲り、隣の部屋に寝ることにした。夕飯を買っている暇はなかったので、今日は34番の納経所の方から貰ったお菓子で飢えをしのぐ。


懐かしすぎるフエラムネをピーピー鳴らしながら、同封されていた「おもちゃばこ」を開けてみる。


ーー芸術性が高すぎて、僕には理解できない。


ブログを更新しようと思ったら寝てしまっていた。この時点でもう4日くらい溜まってしまっている。どこかで消費せねば。
【支出】救急用品1300円、雑費300円、飲食費1720円

【歩行距離】30.3キロ

【参拝霊場】33.34

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【ふぉろーみー】